子どもの育ちに目を向けて

子どもの育ちに目を向けて

 

ある日起きたらお母さんがいなかった

おかあさんどこ?

お父さんに聞いてもこたえない

パンをかじって牛乳を飲んで学校に行った

一日ぼんやりしていて

せんせいに「どうした元気ないな」と言われた

お母さんが帰ってきたかもしれないと思って急いで家に帰った

 

友だちと遊ぶ約束をしていたのをすっかり忘れた

ぼくがボールを持っていくことになっていたのに

お母さんは夜になっても帰ってこなかった

 

お父さんの買って来たお弁当を食べて

入れ物を片付けずにテーブルに置きっぱなしにしたので

お父さんが投げつけるようにゴミ箱に入れた

 

次の日学校に行ったら

友だちが「おはよう」と言っても知らん顔だった

ハッと気が付いてあわてて「きのうごめん」と言ったけど

もう誰もボクに話しかけて来なくなった

 

すっかり仲間はずれになったけど

ボクが悪いからしかたがない

 

朝起きられなくなったので

学校を休むことにした

連絡をしなかったので

せんせいが家にきた

 

給食のパンが入ったビニル袋をぶんぶん回して

散らかった家の玄関で

「こうやって振り回すとパンがうまくなる」とおおまじめに言った

そんなわけないし・・・とボクは笑った

なんでかしらないけど

ボクがへこんでいるのを

せんせいは知っているんだ

 

またあした

せんせいは帰った

パンを食べながら

やっと安心してひとりで泣いた

成人式

成人の記念

 

19歳までの私になかったものは、「理由」。
どうして自分がここにいるのか、なぜ今ここに生きているのかという「理由」。